弱小進学校が、全国出場校に勝つ!(1)
高校3年生の春。
我々の高校にとっては、
最後の大会だ。
部活をやっている人は、
高校3年生の春に引退し、
本格的に受験勉強に入る。
うちのサッカー部でも、
私と同級生のうまかった(高1でスタメン)ヤツが
京大に入るため、1年で部活をやめたり、
私の親友も、
東大に入るため、2年の序盤でサッカー部をやめていた。
高校3年生の春の大会は、
部活をしている私たちには、本当に最後の大会になる。
高校3年生になり、
私はサッカー部のキャプテンを任されることとなり、
運命の抽選会に出かける。
一つでも多く試合をしたいから、
クジ運はとても重要視される。
弱小校にとっては、私の右腕に運命がのしかかる。
チームメイトから、
多大なる願掛けやお守りをもらい、いざ抽選会場へ。
「顔面蒼白」
この世の終わりかと思った。
学校に戻り、部活に顔を出した瞬間に
みんながダッシュで詰め寄ってくる。
「どうだった、どうだった!!!???」
・・・
・・・
「ごめん・・・。」
「えええええええーーーーーーーーーーーっっっ!!!」
・・・い、い、い、や。ありえないって。
・・・おわった・・・。
口々にそんな声が聞こえて来る。
なんと、
2回戦で、
昨年、全道で優勝し
全国大会で活躍した超スポーツ私立高校と当たることに。。。
完全に部活全員で意気消沈。
後輩たちも、残念でしたね・・・という感じ。
まぁ〜、
しかし、1回戦がある。
1回戦は勝とう!!!
はっきりいって、
キャプテンの私でも諦めていた。
チームメイトは、もっとだろう。
最後の大会・・・。
これで終わってしまうのか〜。
3年生全員集合で緊急会合という名の
BBQパーティーが私宅で執り行われた。
話題はもちろん、
「勝てないべ。。。」
「受験勉強が早くからできるからいいじゃん!」
など、すでに2回戦で負ける気満々な意見。
おい、おい・・・。
でも、
サッカー部、いつも一緒で本当に仲が良かったメンバーだった。
よく、平日でもメンバー家に泊まり、
練習試合の前にも、泊まって、寝坊して
よく監督から怒られていた。
仲の良さだけは、
どこのチームにも負けていなかったと思う。
今のままでいいのか?
せっかくだから、
食い下がれるところまで食い下がろう。
と一つになった。
何よりも原動力は、
このチームを解散したくない。
1日でも長く、このメンバーと一緒にサッカーがしたい。
そういう願いがみんな強くあった。
次の日から、
昨日の緊急集会で話し合った内容どおり、
練習メニューを変えた。
うちのサッカー部は顧問はいるが
監督がいないので、
基本、練習メニューや戦術などは、
キャプテンを中心に自分たちでやる。
いままでは、
全員でパス練習、シュート練習、ゲーム的な流れで
なにげな〜く練習していたが、
今日からは、
ポジション別に、特化した練習をすることに。
後輩たちには、申し訳なかったが理解してもらった上で
3年生の特訓のサポートをしてもらうことに、
(センターリング上げてもらったり、
クリアボールを攻ってもらったり・・・)
高校の時のグラウンドは狭かった。
その狭いグラウンドに、
野球部が1/2の面積を使う。
その余った1/2の面積で、
サッカー部とラクビー部と陸上部が練習していた。
そんな、肩身の狭い、面積も狭いサッカー部が
何やら周りの部活に頼み込んで、
場所をほんの少し優遇してもらい、
ポジション別の練習をしている。
FWは、
点を決めるためにゴールに放り込まれたボールをゴールに決める練習。
MFは、
ロングシュートと、
ラストパスの制度を上げる練習。
SBは、
グラウンドを端から端までダッシュして
センターリングを上げる練習。
DFは、
1対1の対応と、
浮き球に競り負けないようにヘッディングの練習。
などなど、、、
とにかく、
ポジション別に、これでもか、これでもか!?
っていうくらい過酷に練習した。
仲の良かったメンバーだが、
この時は、練習中にプレーのことで
よくケンカになっていた。
一番、僕が怒鳴っていたかもしれない、笑。
部室に貼ったカウントダウンのカレンダーが
一枚また一枚とめくられていく。
ついに、明日になった。
明日から、1回戦が始まる。
みんなで最後にエンジンを組み。
最後の大会に挑むこととなった。